研究概要 |
本研究の目的は、大規模論理回路に対して、フィールドテストにおける様々な制約を考慮した上で、システムのパワーオン・パワーオフなどのシステムの空き時間を利用して高品質なテスト手法を確立することにある。特に、劣化が原因となる遅延故障について、高い故障検出能力を有するテスト手法を開発する。フィールドテストは製造テストと異なり、テスト時間は短いが、テスト機会は一度だけではなく何度もテストすることができる。そこで、1回のテストですべてのテストパターンを印加するのではなく、テストパターン集合を分割して、複数回のテスト機会を通じて一つのテストを実施する「分割・巡回テスト手法」を提案し開発する。平成22年度は,「研究1:分割・巡回テストにおける分割テスト集合の評価尺度開発」と「研究2:静的順序による巡回テストアルゴリズムの開発」を主な研究対象に研究を実施した。 研究1については、テストパターン集合を分割する場合、ある故障を検出できるテストパターンが同じ部分テスト集合に複数含まれると、分割・巡回テストにおける各回の故障検出率が低下すること、また、故障の検出間隔が長い場合も障害発生確率は増加することに着目した。1回のテスト当たりの平均故障検出率を最大化するテスト分割アルゴリズムを開発した他,障害発生率に基づいた分割テスト集合の評価方法を開発した。研究2については、研究1で定義した分割テスト集合の評価尺度に基づいて、各部分テスト集合の印加順序を固定した巡回テストにおいてその印加順序(巡回順序)を決定するアルゴリズムを開発した。特定の故障が検出できない部分テスト集合の印加が長く連続しないように、印加順序を決定する方法を開発した。その他,フィールドテストによる故障検出の効率を高めるための技術についても検討した。
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