研究概要 |
我々の2009年の研究は以下に示す通りである. 1.光バッファは,光ネットワークにおいて競合を解決するための基本的な要素である.現在の研究では,スイッチファイバ遅延線(SDL)を用いて,光バッファをエミュレートすることに焦点が当てられている.我々は,光フィードバックSDL構成に基づいた,後入れ先出し(LIFO)バッファおよび先入れ先出し(FIFO)バッファの設計の研究を行った.特に,サイズBのLIFOバッファをエミュレートするための新たなスケジューリングアルゴリズムを提案し,従来の設計では9logB本も必要であった遅延線を2logB本に削減可能であることを示した.FIFO光バッファについては,SDLを用いて1対2の共有バッファをエミュレートする方法を示し,さらに拡張して,より一般的なN対2の揚合のエミュレート方法も示した. 2.SDLベースの光バッファのブロッキングや遅延の特性は,従来のメモリ(RAMなど)とは大きく異なる.そのような新たな特性を解明するために,我々は光バッファに対する新たな待ち行列モデルを開発した.そのモデルに基づき,プロッキング率と平均遅延の閉形式を導き,バッファの性能とシステムパラメータ(光バッファ長やファイバ遅延線の時間粒度など)とのトレードオフの関係を研究し,さらに,パケット長の分布がバッファの性能に与える全体的な影響を評価した. 3.アレイ導波路回折格子(AWG)は,高速で大容量の波長分割多重方式スイッチを構成するための非常に有望な技術である.我々は,波長―波長,および,波長―ファイバの両方のリクエストモデルに対して,スイッチング速度が高速でノンブロッキング特性を保証可能な新たな自己ルーティングAWGスイッチ構成を提案した.提案した新たなスイッチに対し,ハードウェアコストやクロストーク性能の解析を行った.
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