研究課題/領域番号 |
21300020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中尾 彰宏 東京大学, 大学院・情報学環, 准教授 (60401238)
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研究分担者 |
大坐畠 智 電気通信大学, 大学院・システム学研究科, 准教授 (30361744)
川島 幸之助 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90345330)
宮村 浩子 日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究員 (20376859)
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キーワード | P2Pネットワーク / トラヒック制御 / セキュリティ / 可視化 / ネットワーク仮想化 |
研究概要 |
本研究では、P2Pファイル共有ネットワークを対象とし、流通するファイルおよびトラヒックを制御するために、偽のファイル、および、偽のメタ情報(ファイルの位置情報)を能動的にP2Pネットワークに流すポイズニングと呼ばれる手法の開発とその有効性の実証実験による検証を目的とする。また、ポイズニング制御の効果・特性をより明らかに把握するために、P2Pネットワークの情報をリアルタイムに測定・可視化するための分散測定環境を日本各地にノードが分散配置されているCoreLab上に開発し、さらに可視化による対話的な現象解析と効率的な制御方式に役立てることを目的とする。 今年度の研究成果は、(1)多くのユーザが利用するP2Pファイル共有アプリケーションであるWinny、Share等を対象として有効なポイズニング方式を開発し、その効果を評価した。ネットワークへの影響を最小限に抑えるため、偽者のファイルを流通させる(ポリューション)のではなく、偽のメタ情報(ファイルの位置)を流すことにより、実質ファイルが存在しなくなるインデックスポイズニング手法を開発した。(2)さらに次年度以降、地理的に分散したポイズニング方式を開発するために、まず、地理分散測定評価システムを開発し、CoreLabというネットワーク仮想化環境上に構築を行った。P2Pネットワークのトポロジー情報を正確にリアルタイムで把握することは、ポイズニングを始め、P2Pネットワークの制御方法に対して、スケーラブルで効率的な手法の開発に有益である。また、(3)P2Pネットワークは自律分散システムでかつ規模も大きく、参加するコンピュータが動的に変化する。情報可視化は、このような大規模で複雑な現象の解析、有効な制御方式を開発するために非常に有効である。そのため、我々は大規模ネットワークを簡略化して段階的な詳細度で表現し、対話的に可視化する手法を開発した。 今後、さらに分散測定システムと可視化システムを統合することにより、リアルタイムにP2Pネットワークを可視化し制御する分散システムを開発する予定である。特に、可視化結果から、ポイズニングの対象を明らかにし、対話的にその対象に対してポイズニング制御を行うシステムを開発する予定である。
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