研究課題
無線センサネットワーク(wireless sensor network : WSN)は、各センサの限られたバッテリ容量で長期間の動作を要求される。本研究では、対象とする領域に配置された各センサから基地局にマルチホップ通信でセンシングしたデータを収集するWSNを考える。この際送られてきたデータに自身のデータを加えて、次のノードに送信する送信データ積算型モデルを対象とする。このWSNは、移動能力のない通常のセンサ(静止ノード)と移動可能なセンサ(可動ノード)から構成される。対象領域全体をセンシングするという条件の下でWSNの稼働時間の延長を目的として、可動ノードを適切な位置に移動させる。しかし、時間の経過によりあるノードがバッテリ切れを起こすと、可動ノードの最適な位置も変化する。本問題は典型的な組合せ最適化問題であり、最適解を効率的に求めることは困難である。可動ノードの適切な移動先を効率的に求めるための近似解法として遺伝的アルゴリズムを利用し、更に、ノードの通信負荷がなるべく均等になるように負荷均等木構築法を開発した。手法の有効性を評価するため、本研究で加えた工夫を無効化した手法との比較実験をシミュレーションにより行った。その結果、本手法により、可動ノードの移動がない場合に比べ、約2倍稼働時間が延長されること、および、負荷均等木構築法の導入により約10%稼働時間が延長できることを確認した。
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