(i) 送信・中継・受信ノード間の高速データ転送プロトコル、に関しては、長距離高速回線上での大容量ファイルの転送、特に複数フローが競合する場合の非効率性や不公平性などの解決方法を検討し、これまで研究してきた高速転送向きTCP技術を発展させ、計算機シミュレーションによる複数の長大フローの競合時の性能・特性の評価を通じて有効性を示し、一部の成果を国際会議で発表した。 一方、(ii) ファイル中継の空間的時間的な最適スケジューリング、に関しては、ボトルネック上で複数フローが競合する場合に、適切なスケジューリングによって転送時間を短縮できるパターンを分析した。スケジューリングを柔軟に行うためには、高機能中継ノードによるネットワーク内部での多段蓄積・中継が単純なモデル上は有効であるが、実際のTCPによるデータ転送の場合の性能特性を確認することが重要である。そこで基本的なシナリオでの性能分析を計算機シミュレーションによって行い、課題を抽出した。そして、スケジューリングを効果的に行うためのTCPフローの動的分割手法を検討し、その有効性を示し、国内研究会で発表した。さらに、フロー転送のスケジューリングとフロー転送データの圧縮を組み合わせることは、時間・空間資源の効率最大化に有効であるが、その初期検討として、パケット単位のネットワーク内部での適応的圧縮手法を検討し、計算機シミュレーションと実インターネットのパケット計測による付加情報を合わせて、提案手法の高い効果を示し、英文論文誌で発表した。
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