1.送信・中継・受信ノード間の高速データ転送プロトコルに関しては、これまで研究してきた高速転送向きTCP技術を発展させ、途中のルータのバッファ容量が小さい場合の効率性改善や長期競合時の公平性改善などを実現する手法を開発した。さらに、ノード間に複数の不安定なネットワークや経路がある場合にそれらを統合的に扱うことで高速転送を実現する手法も開発した。これらの手法を、計算機シミュレーション、JGN2plus、インターネット、さらに高速インターネット通信衛星(WINDS)での実験を通して効果を検証し、論文誌、国際会議、国内研究会で発表した。 2.ファイル中継の空間的時間的な最適スケジューリングに関しては、これまで研究してきたデータ蓄積・転送スケジュール手法を発展させ、格子状の単純なネットワークトポロジーでの複数フロー競合シナリオにおいて、ボトルネックリンクの手前ノードでの比較的単純なスケジュールだけでも、ほとんどの場合に同時転送よりもフロー平均の応答時間を短縮できることを、シミュレーションによって示した。一方、実機実験に向けて、新世代ネットワークのための実験ツールとしても近年注目されているOpenflowスイッチを購入し、PCによる蓄積とOpenflowによる経路切替を組み合わせた実験環境を構築中である。また、JGNplusの後継である新世代ネットワークテストベッドJGN-Xを利用できる環境も準備を進めており、2011年6月から利用可能になる予定である。 3.中継ノードの最適配置に関しては、問題の定式化・モデル化を進め、2.のシミュレーションから得た知見を活かしながら、大規模ネットワークに対応可能なヒューリスティック手法を検討中である。
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