研究概要 |
ユビキタス社会の到来に備え,そのネットワーク基盤を安心・安全に利用出来るためには,悪意のある改ざんや破壞が行われた場合に、法的手段や訴訟を行うためにデータ調査/分析を行うことを可能とするデシタルフォレンジックが重要となる.本年度は,下記の方式について,研究を進めた. 1. ペアリング暗号の安全性解析 ペアリング写像を利用することで,IDベース暗号や効率的なブロードキャスト暗号などの利便性の高い暗号プロトコルが提案されている.GF(3^n)上の超特異楕円曲線におけるηTペアリングを利用したペアリング暗号に関して,以下の観点からの実装評価実験を進め,拡大次数n=71の有限体GF(3^<6.71>)の解読の世界記録を得るなどの成果を上げた. 2. 安全・安心なユビキタスネットワーキング方式 無線ネットワークのネットワークフォレンジック技術について検討を進めた.これまでの研究成果を基に,収集した証拠の信頼性評価,証拠の分析方法の定量的評価を進め,これを基に,攻撃方法毎に特化してきた検出方式をシステムとして統合した.更に,証拠情報収集のためのプロトコルに関して高信頼化を図るためラスタ-クラスタベースの高信頼な通信経路構築方式,GIS(3次元位置情報)をベースとしたよりオーバヘッドの少ない次世代高信頼ルーティング方式などについて検討した. 3. 大規模ネットワークの特性解析と制御のための基礎理論 DoS攻撃にロバストであり,大規模システムの制御に有効である多変量解析に基づく状態空間の圧縮方式等を導入した強化学習によるルーティング方式について,ルーティングアルゴリズムの効率を上げるために,非線形目的関数の大域的最適化問題を導出する方法を検討した.これを基に,高効率なルーティングアルゴリズムを開発した.
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