研究概要 |
本研究では,情報システムの利用者の主観的感情としての安心を,セキュリティ(security)や安全性(safety),信頼性を網羅する複合概念であるトラスト(trust)の感情部分を安心と位置づける.今後,質問紙調査等により,セキュリティや安全性等のトラストの各概念における安心の要因や構造を明らかにして行きく.安心の要因や構造が明確になれば,情報社会におけるシステムやサービスの安心度合いという指標を作ることも可能となる。さらに,これらの安心の要因の望ましい応用である真の安心に関し,医療や災害時等緊急時において相手を安心させるコミュニケーション技術等について研究する.他方,望ましくない応用については虚偽の安心問題とし,フィッシング(Phishing)に代表される情報社会の詐欺行為等について,何故,人を安心させてしまうのかについても分析し,その対策を考えて行きたい. 平成21年度はセキュリティ以外のトラストの要素,セーフティおよびプライバシ等における安心についてのユーザ調査および統計的分析により,安心の要因を明らかにする調査の準備を行った.また,セキュリティについてのアンケート調査についても,聞き取り調査から始め,あらたに質問紙の改善を行い,WWW上での調査に向けて準備を行った. さらに,別途研究を進めていた遠隔印刷サービスの研究の運用に際し,新たにソフトウェアを導入する時に,安心感が必要なことが判明した.これも真の安心問題のひとつとして考えて行きたい.
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