研究概要 |
本研究では,情報システムの利用者の主観的感情としての安心を,セキュリティ(security)や安全性(safety),信頼性を網羅する複合概念であるトラスト(trust)の感情部分を安心と位置づける.今後,質問紙調査等により,セキュリティや安全性等のトラストの各概念における安心の要因や構造を明らかにして行く.安心の要因や構造が明確になれば,情報社会におけるシステムやサービスの安心度合いという指標を作ることも可能となる.さらに,これらの安心の要因の望ましい応用である真の安心に関し,医療や災害時等緊急時において相手を安心させるコミュニケーション技術等について研究する.他方,望ましくない応用については虚偽の安心問題とし,フィッシング(Phishing)に代表される情報社会の詐欺行為等について,何故,人を安心させてしまうのかについても分析し,その対策を考えて行きたい. 平成22年度はセキュリティ以外のトラストの要素,セーフティおよびプライバシ等における安心についてのユーザ調査結果を分析し,安心の要因を明らかにする調査を行った.さらに,情報セキュリティについての安心感については,平成21年度実施した情報セキュリティの専門知識のない被験者10名でのブレーンストーミングの結果について,KJ法を用いて集約し,新たな質問紙を生成し,それを用いて予備調査を100名程の被験者対象にWEB上で7月と平成22年1月の2回実施した.これにより,質問項目の内容を修正し,最終的に34問の質問紙を完成した.来年度はこれを用い大規模調査を行う.
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