研究概要 |
H21年度では,粒子ボリュームレンダリングにおける粒子生成,サブピクセル処理の各処理ステップにおいて新しい技術を開発した。粒子生成ステップでは,ユーザ指定の伝達関数に従って,格子毎に粒子を発生させる.現状では,粒子密度推定式を用いて,格子を構成する四面体セル毎に粒子数を推定することによって,格子内部において一様に粒子生成を行う.この方法だと局所的なピークを持つ伝達関数に対応した粒子生成が行えないという問題がある.この問題を解決するために格子内部における密度変化を考慮した粒子生成法を開発した.局所的なピークを持つ伝達関数を使って、この手法による画質と計算コストを計測し,それほど計算コストを増加させることなく画質向上が達成されていることを確認した,また、半透明属性をもつポリゴンデータから粒子データを生成する手法の開発を行った。サブピクセル処理ステップでは,画像面に投影された粒子から画素の値を決定する.現状では、生成された粒子を画素内において,できるだけ正確な場所に投影できるよう画素をいくつかの部分画素(サブピクセル)に分割し,部分画素値の平均化により最終画素値を計算している.このためサブピクセル数倍だけフレームバッファを用意しなければならず,メモリ資源の観点で問題がある.この問題を解決するためにアンサンブル平均の考え方を利用して,サブピクセル数分画像データを使って平均化計算を行い,平均化画像を最終画像データとする手法の開発を行った.いくつかのデータを使った比較実験を通して、このアンサンブル平均法とサブピクセル法とが等価であることを示した。また、高速ネットワークを使って、データサーバ上に複数に分割されて格納された大規模不規則ボリュームデータによる実験を行い,粒子ボリュームレンダリングを用いた遠隔可視化システムの有用性を確認した。
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