本年度は主に計測手法関係する以下の3点について検討を行った。 1.力作用および力計測フレームワークの検討 対象の動的な変形の計測と作用力の計測を行う環境のプロトタイプを構築した。対象を機械的に圧迫し、その圧迫を急速に解除するデバイス(圧迫デバイス)を製作した。ここでは押し棒をバネにより引き戻す構成を採った。また、対象物に貼付けたマーカを2台の高速度カメラで撮影することにより、圧迫解除後のマーカの空間的な動きを計測するシステムを試作した。 2.変形計測手法の検討 対象物表面形状を複数のマーカの空間位置のデータとして計測する手法を検討した。それぞれのマーカをフレーム間で追跡することにより、マーカの誤認識や見失いを少なくするアルゴリズムを検討した。画像フレームの上では1画素以下の精度が得られることを確認した。空間的な計測精度の検証と、精度を改善するカメラ配置やアルゴリズムの改善、圧迫デバイスによる隠蔽の期間に関するマーカ位置の推定補間などが今後の課題である。 3.安定なインパルス応答計算手法 インパルス応答の計測手法として、ステップ応答からデコンボリューションによりインパルス応答を求める方法を検討した。この方法により、圧迫している静的な状態での力の情報からインパルス応答を求めることが可能になり、動的な変形状態での力計測の困難を回避することができる。精度の改善は今後の課題であるが、実現の可能性については感触を得ることができた。
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