変形する実対象物とのインタラクションにおける力覚情報を記録・再生する手法の確立を試みた。具体的には、次の4点について検討した。 (a)計測手法:対象物体のインパルス力に対する変形応答を計測する手法について検討した。空気噴流をもちいた圧迫により、カメラの変位計測におけるマーカーの隠蔽の問題を解決した。また、インパルス応答を直接計測するのではなく、ステップ応答からインパルス応答を求めるH方法をとることで、インパルス力の計測の困難を回避した。 (b)モデル構築手法:対象物のモデルを効率的に精度良く生成する手法を確立する。具体的に1は、前年度に考案した作用ノードと計測ノードの組を間引く手法によりデータを圧縮する手法を確立した。 (c)実時間再生手法:構築されたモデルに対する視覚的・力覚的な実時間インタラクションを実現する手法を確立した。計算の多くを占める畳み込み演算について、主記憶上のデータアクセスを連続化することで効率を向上するアルゴリズムを検討した。また、このアルゴリズムをGPUに実装することで、その効果を検証した。 (d)評価手法:計測に基づいて生成された変形モデルについて、変形特性を実物と比較して評価することを試みた。応答の主要なパラメータである時間および振幅のスケールを変化させ、実物体にもっとも近いスケールを被験者に選択させることで、応答の妥当性を検証した。
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