研究分担者 |
米澤 朋子 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究員 (90395161)
田村 俊世 千葉大学, 工学研究科, 教授 (10142259)
山添 大丈 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究員 (70418523)
内海 章 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 主任研究員 (80395152)
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研究概要 |
記憶障害者や認知症者の意欲創出や注意誘導を可能とする行動支援メディアを実現するため,22年度は療法士,介護士などが有する臨床上のノウハウを収集,分析した.意欲創出技術について,患者宅のPCに常駐するユーザエージェントを開発し,患者の一日の予定を意欲創出が期待されるコンテンツとともに患者の予定を配信する環境を構築した.そして意欲創出コンテンツとして体操や音楽,思い出ビデオを使用して4組の患者に対し適用した結果,患者の自立度や予定の実施率が有意に向上し,意欲創出効果を確認した.次に患者の注意誘導技術について,患者の左右にある実物体へ視線と注意を確実に誘導するため,音声による指示と矢印,また目玉アニメーションによる指示の効果を評価する環境を構築した.目玉につられる動作は反射的に生起するもので,また高齢者では矢印方向よりも視線方向に強く注意が誘導されることを示唆する報告があることから,目玉を誘導したい方向に動かした.この環境で軽,中度認知症者8名が注意誘導の効果を評価した結果,指示文の詳細化,矢印アニメーションが最も効果があることを確認した.しかし症例によっては目玉アニメーションの効果が期待される場合もあり,目玉についても評価は継続する.また先行研究において認知症者がテレビ電話で対話した際に,患者に寄り添う対話介助者が患者の注意を適宜,対話に引き戻す必要があることが示された.そこで本研究では,認知症者同志がテレビ電話で対話している際の介助者の行動を多数,収集した.最後に研究協力先の藤元早鈴病院のfMRI装置に画像刺激提示装置,および視線検出装置の組み込みを行い,刺激提示しながら脳画像が撮影できることを確認した.またfMRIガントリ内から視線検出に必要な目の周辺画像が取得できることを確認した.以上のように22年度の研究は計画通り順調に進捗した.
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