研究課題/領域番号 |
21300045
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
飯田 仁 東京工科大学, メディア学部, 教授 (20350506)
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研究分担者 |
岡本 雅史 清泉女子大学, 文学部, 講師 (30424310)
大庭 真人 東京工科大学, 片柳研究所, 研究員 (20386775)
石本 祐一 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 特任研究員 (50409786)
阪田 真己子 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (10352551)
細馬 宏通 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (90275181)
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キーワード | ヒューマンインタフェース / 漫才インタラクション |
研究概要 |
漫才における演者の発話とツッコミ行為の推移を分析し、ボケ役の発語中もしくは直後とツッコミ行為との間に発生する「身体ノリ」の出現頻度と様式のバラエティを調べると、「身体ノリ」は観客の有無にかかわらず行われる一方で、観客のいる方が発生しやすく、また、同じネタでも観客の有無によってその表現は異なることがわかった。これらから考えると、「身体ノリ」は、あらかじめ決まった動作というよりは、その場でそのつど産み出される身体動作である可能性があることが分かった。 また漫才中の演者のモーションキャプチャデータを分析した結果、ボケ役の発話に対して、ツッコミ役は姿勢を観客に向けながら、ボケ役との距離をとり、その後、視線・姿勢共にボケ役に向けつつ、距離を近づけながら「ツッコむ」という行為が示された。つまり、ツッコミ役はボケ役に対し視線を向けることで、観客が「今誰を見るべきなのか」を視覚的に表示し、ボケ役に観客の注意を誘導する「共同注意」の役割を果たしていると考えられる。漫才においてオープンコミュニケーションをコントロールしているのは[ツッコミ]であることが示された。その特徴としては、「身体ねじり」を利用し観客に対する外部指向的な発話を行うことで、観客を含んだKendonのF陣形を構築し、観客を漫才対話の中に引き込んでいる。ただし、F陣形を常に観客を含んだ状態で維持するわけではなく、時には二人の漫才師で閉じられたF陣形を形成し、自然な会話を演出することで違和感なく話を展開させている。そして、笑いを誘発する目的の発話の際には発話者に対して「共同注意」を促すことにより、観客の意識を発話者に誘導し情報提供を確実に行う。つまり、オープンコミュニケーションを行うためには、情報発信者と真の情報の受け手とを結びつけることが重要であり、F陣形を巧みにコントロールする人物が必要であるといえる。
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