移動体間の連携・協調の仕組みとその応用技術を実現した。 特に、小型無人移動体によって個人用知的移動体の自動走行をより安全にする仕組みについて、実機による実験と、より大規模で複雑な状況を想定したシミュレーションによって、提案手法の有効性を詳細に検証した。 本研究で開発した、移動体間の連携・協調による安全自動走行技術には2種類あり、その一つは、自律移動が可能な小型移動体の地図生成および位置認識(SLAM : Simultaneous Localization and Mapping)によって有人移動体のセンシング領域を拡張し、移動障害物回避をより高度にしたものである。小型無人移動体は有人移動体の死角をカバーし、搭乗者の指定した領域のセンシング情報をリアルタイムに有人移動体に送信する。 それによって、死角から接近する移動障害物を正しく認識することができる。 また、もう一つの移動体間の連携・協調による安全走行技術は、複数の移動体が非同期に協調するものである。具体的には、複数の無人移動体がプローブカーの役割を担い、走行可能範囲の探査を行い、その安全性と走行容易性を計算してデータベースに登録し、自動走行中の有人移動体がその情報を用いて最適な走行経路を動的に決定する。 それによって、有人移動体は目的地までの安全で効率的な経路を計算できる。 実機ではこれらの技術の実装上の問題を探り、シミュレーションでは、博物館などの大型の屋内施設内で複数の無人移動体を自律的に探査させ、有人移動体が目的地に移動するために必要とする時間の変化を測定し、移動の効率性が向上することを確認した。
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