研究概要 |
大規模セマンティック情報資源構築プラットフォームを開発するために,本年度は,オンライン百科事典「日本語ウィキペディア」から大規模汎用オントロジーへの自動変換時において,プロパティ名,プロパティ間の関係,およびプロパティタイプを自動構築する手法の提案と評価を目的とした. 具体的には,(1)40種類のInfoボックステンプレートと(記事名,リスト構造の見出し語,リスト構造値)トリプルを利用したプロパティ名の自動抽出方法,(2)前述したトリプルの主語である記事が属するカテゴリーからプロパティ定義域と値域,およびプロパティ上位下位関係の自動推定法,さらに,(3)トリプル分析による,オブジェクトプロパティ,データタイププロパティ,対称関係プロパティ,推移関係プロパティ,関数関係プロパティの自動推定法を考案し実装した. 評価実験を行った結果,Infoboxからの抽出したプロパティ名は1,962,411個で精度は95.2%,リスト構造からの抽出したプロパティ名は2,919,470個で精度は92.5%,プロパティ定義域は9,486個で精度は94.8%,プロパティ値域は49,262個で精度は90.4%,クラスーインスタンス関係は14,053個で精度は88.3%,Is-a関係は35,946個で精度は92.1%,プロパティ上位下位1,387個で精度は57.5%であった.プロパティ上位下位関係の精度は低かったが,それ以外は,概ね抽出された規模は大きく,精度も90%以上で,おおむね良好であった. また,応用としては,日本語Wikipediaオントロジーに,高速道路,SAレストラン,交通規制,行政区画,天気予報,観光スポットなどのデータをリンクする事により,車の走行中に,食事要求条件に合致するSAレストラン,あるいは,温泉に立ち寄りたいというようなスポット要求から走行位置から近距離の温泉を提示するような情報推薦システムを試作し,次世代カーナビゲーションの可能性を示すことができた.さらに,昨年から引き続き,日本語Wikipediaオントロジーと動作作オントロジーの統合を進め,人の動作を認識し,その人の動作に合った体操メニューを動的に考案する人型ロボットを開発した.
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