研究課題
最終年度は特に道具身体化の基盤となる"身体のモデル"について,その獲得方法を含めた再考を行った.ロボットに代表される知的エージェントにおいて,その自己身体領域をどのように定義し獲得させるかは極めて重要な問題である.本研究では,(1)運動経験の中で運動モデルと身体識別を同時に学習するモデル,(2)学習過程で学習対象を推移させるモデル,の構築を目的とした.(1)について,従来研究の多くは視野内で「身体」は識別済みであるとしており,身体識別を対象としていない.また(2)については,学習状態を閾値で識別して対象を選択する等,事前の設計が必要となるものが多く,また学習対象を変更する効果について十分な検証はされていなかった.(1)について,本研究では認知科学等の知見を背景に「予測可能性による身体識別」を検討した.具体的には運動指令から動きの予測できるものが身体である,との定義を行いシミュレータ及び実ロボットへの実装を行った.また(2)については,学習中の対象の予測誤差変化を用いて,各学習係数を調整する手法を構築した.人間型ロボット,アクトロイドを用いた実装と評価実験を行った.アクトロイドはバブリングによる身体動作を行い,自らのカメラでその身体の動きを観察する.同時に人間の実験者がアクトロイドの視野内でその腕を動かすことにより,学習対象の選択と身体識別を行わせた.実験の結果,(1)については身体識別と運動学習(順逆モデル)を同時に遂行することが可能となること,ロボットは運動学習の中で自己と他者を十分な有意差で識別可能なこと,さらに獲得された内部モデルにより模倣運動が可能になることが確認された.(2)では,従来の自己と他者を同時に並列学習する手法より,他者を学習対象から外すことで,自己のモデルがより高精度かつ安定して学習可能になることが確認された.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Trans. On Autonomous Mental Development
巻: Vol.4, Issue:2 ページ: 139-149
doi:10.1109/TAMD.2011.2177660
Proceedings of IEEE International Joint Conference on Neural Networks (IJCNN-2012)
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IROS2012 Workshop on Cognitive Neuroscience Robotics
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