研究課題/領域番号 |
21300080
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
廣田 薫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50130943)
|
研究分担者 |
董 芳艶 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (30432024)
|
キーワード | エージェント / インターネット高度化 / ソフトコンピューティング / 情報システム / 人工知能 |
研究概要 |
前世紀前半に欧州の小説の中に登場したロボットは、先進国において、工場自動化などで欠くべからざる存在となり、そして今世紀、労働面だけでなく精神面でも感性に訴えて人間を癒すパートナーとしての期待が高まっている。このような背景から申請者らは、眼の動きによる感情表現が可能なロボットを作成し、これらを用いて家庭環境において人間と音声と眼球動作表情による「さりげないコミュニケーション」を図ることのできるマスコットロボットシステムを開発した。この研究により、人間に対し感性表現を行うことでユーザに対して有効に情報提示を行う仕組みを、家庭環境下で実現することができ、さらにオフィスや工場など別環境への多くの展開が期待されている。この研究成果を見直すと、次の新たな課題が浮かび上がる。それは、この感情表現により効果的な情報提示が可能となったが、そのことによりユーザの認知はどの点がどの程度向上したのか、そして特定の認知側面を向上させるような感情設計はどのように設計すべきであるか、という課題である。そして、複数ロボットと複数人間が感性的な情報交換をいかに行うか、そのためにはロボット用の音声・画像認識技術の開発と共に、複数のロボットを誰でも容易にインターネット接続することができる技術開発も重要になる。この研究の意義は、日本が世界を凌駕する3つの技術、すなわちロボット、感性、そして計算知能を融合させて、世界に先駆けた感性表現ロボットの技術を完成させることである。本研究では、初年度平成21年度においては、機材一式の研究インフラを整備構築するとともに、感性表現の可能なロボットシステムハードウェアを設計製作し、そしてこれら一通りの設備を用いた実験を行って、実験ノウハウを確立している。その成果としては、1本の原著論文を国内国際雑誌に投稿、3本の国際会議論文を発表している。次年度平成22年度では、被験者を用いた大掛かりな実験を行い、感性と認知との相互作用のデータを取得する予定である。
|