研究概要 |
人と人とのコミュニケーションの成立は、参与者間の関わりにおける拮抗した「場」とそのダイナミクスに支えられている。しかし、このような「コミュニケーションの場」の背後にあるメカニズムの解明はまだ十分に進んでいない。本研究は,ソーシャルなロボットの特性を生かして、(1)人と人とのコミュニケーションの基底にある「場」とそのダイナミクスの様相を解明すること、(2)人とロボットの間にたち現われる「場」を介した新たなインタフェース技術を確立することが目標である。 本年度は、(1)本研究の立ち位置やコミュニケーションの「場」についての理論的基盤を整理して、『認知科学』の誌上討論、『モノ学の冒険』(創元社)、『ロボット情報学ハンドブック』(ナノオプトエナジー)の一部として刊行した。また、(2)本研究の準備作業として、本研究遂行に向けたキャリングビークル(Sociable Dining Table, Sociable PC, Sociable Spotlight, Sociable Trash Boxなど)を構築した。更に、(3)豊橋市子ども未来館(子ども体験型施設)でのフィールド実験を行い、群れるゴミ箱ロボット(Sociable Trash Box)に関する興味深い結果を得た。これをHRI(Human-Robot Interaction)2010にLate-Breaking Repotとして発表したところ、Best Late-Breaking Report Awardを受賞した。(4)Sociable Dining Tableにおける相互適応モデルに関する論文をヒューマンインタフェース学会論文誌に、Sociable PCの同形性の帰属傾向に関する論文を電子情報通信学会論文誌にそれぞれ掲載した。
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