研究課題/領域番号 |
21300085
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
斎田 真也 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (90357054)
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研究分担者 |
和氣 洋美 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (80122951)
和氣 典二 神奈川大学, 人間科学部, 研究所客員教授 (20125818)
氏家 弘裕 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40262315)
横井 健司 防衛大学校, 応用科学群・応用物理学科, 講師 (10345374)
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キーワード | 三次元有効視野 / 運動視差 / 空間周波数 / フィルタリング / 視差提示時間間隔 / 映像の生体安全性 / 眼球運動計測器のノイズ軽減 / 周辺視情報 |
研究概要 |
2次元有効視野の応用として速読書の有効視野計測を継続した。速読の速度は読書の内容に関する知識に大きく作用され、有効視野はその知識に左右され、個人差が大きいことが判明した。3次元有効視野の計測のために、知覚距離20,10,5mからわき出る100個のボールを観察者が移動可能なボールで衝突消滅させる実験条件を設定した。3次元有効視野は体積で説明可能な結果が示唆されたが、なるべく手前で消滅させる被験者と、わき出し口近くで消滅させる被験者の個人差問題が残った。 自動車運転環境における3次元有効視野計測を行うために、運動成分による生体影響が、視差範囲に応じてどの程度生じるかを明らかにすることで、奥行き情報が適正に利用される奥行き範囲を検討した。その結果、速度パラメータとしてグローバル運動の最大速度が、19deg/s(振幅:5deg、周波数:0.6Hz)や31deg/s(振幅:30deg、周波数:0.167Hz)の場合両眼視差範囲が1deg以内では、その効果は2Dと同程度であるが、それ以上の視差範囲では、範囲の増加とともに効果が2Dよりもより増加することが示唆された。 視線計測による認知状態評価に関しては、引き続き速読練習を通じた読書速度向上を課題とし、被験者を追加することで個人差についてのより詳細な検討を加えた。その結果、同等の速度向上結果を得ながらも、有効視野や固視時間、サッカード長分布などの変化に被験者間で質的に異なる傾向があることが示された。また、自動車運転よりもさらに技術的に高度な課題として経験の異なる航空機操縦者により航空機操縦時の有効視野を測定した結果、初期段階では操縦経験に比例して有効視野が増加するものの、一定以上の経験を積んだ場合には減少に転じる可能性が示唆された。これらの結果は、個人差解析の必要性とともに三次元型視野制限等のより多角的な有効視野計測の重要性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最初の課題である「2次元の制限視野に存在する欠点」は境界を滑らかに変化させ、かつ制限視野の外側の透過濃度を任意に変えることなどにより、欠点は解決できている。この手法を用いて速読訓練課程における読みの速度及び眼球運動特性の変化を計測し、口頭発表を行うと共に、論文での公表の準備をした。最終目的の一つである車の運転シミュレーション場面に関連する実験をスタートさせた。具体的には3次元運動物体の情報処理範囲と航空機操縦者の訓練課程における有効視野変化の計測で、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度の一年前であるので、車の運転場面により近い条件を設定して、神奈川大学、防衛大学、(独)産業技術総合研究所間の連絡を密にして、3次元空間における有効視野の概念形成の確立に向けて個別及び共同研究を行う。
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