研究分担者 |
藤澤 隆史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90434894)
井口 征士 宝塚大学, 造形芸術学部, 講師 (90029463)
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
饗庭 絵里子 関西学院大学, 理工学部, 理工学部研究員 (40569761)
下斗米 貴之 玉川大学, 脳科学研究所, 特別研究員 (50415361)
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研究概要 |
共感覚(synesthesia)は、1つの感覚が本来独立であるはずの別の感覚を喚起する興味深い現象として知られている。本研究では共感覚の1つとして知られている色聴(音を聴くと色が見える、colored hearing)現象に着目し、そのメカニズム解明を行う.また共感覚のモデルをメディア表現に適用し,科学的根拠を持った音楽と色彩のインタラクティブアートを実現する. 1.fMRIによる色聴現象の計測:これまでの我々の研究で,色聴保持者10名とコントロール10名の脳活動データを解析し,色聴現象がV4連合領域の賦活と相関することを明らかにした。本年度は色聴現象の強度を定義する目的で,色彩と音楽を呈示し情動の強さを報告する実験を実施した.また前年度に引き続き音楽聴取時の脳活動計測と印象評価を実施し,和声(和音進行)の種類によって左眼窩前頭皮質(BA47)といった情動と関係する脳部位での賦活が見られることを明らかにした.さらに和音進行によって得られる印象は単一和音による印象とは異なることが明らかになるなど,音楽と情動の関係に関する知見を得ることができた. 2.共感覚に基づくメディア表現:音楽と映像のインタラクション(音楽の調性と色の対応(ノンバーバルマップ))のさらなる関係について解析を行い,日本アニメにおけるノンバーバルマップを得た。またこれらが共感覚現象における音と色のマッピングと極めて高い相関を持つことが確認できた.さらに和音から色へのマッピング実験を行い,選択された色データのクラスタ分析によりmajor群とminor群に分類できる事を示した.これはCookらの和音性モデル(モダリティ)の分類に近く,この理論の妥当性を支持している.また回帰分析の結果有意な関係があり,聴覚と視覚が独立ではないこと,またカラーモデルの中ではHSLの値がより色彩感覚の表現に近いことが示唆された.
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