研究課題
本研究の目的は、新幹線等駅改札でのテロ対策の初期スクリーニング(液体爆発物原料の可視化)を歩行状態のまま実現することを想定し、複素ニューラルネットワークに基づくセキュリティ用の実時間ミリ波・イメージング・システムを実現するための基礎を築くことである。複素ニューラルネットワークにおける適切な情報統合の方法を開発するとともに、実用化を視野に入れた空間並列化フロントエンドのプロトタイプを作製し、実際に歩行する人のイメージング実験でデータを取得して、複素ニューロ・イメージング・システムとしての基礎評価を行うことを目指して研究を進めた。本年度(最終年度)は、次の(1)(2)の要素項目を進め、(3)の総合実験を行って、提案方式が基本的に優れた性能を示すことを示すことに成功した。(1)8並列バルクLTSA(Linearly Tapered Slot Antenna)アレイアンテナの設計・作製:まず、前年度から今年度初めまで、われわれが新たに開発したバルクLTSA単体の特性評価を行い、そのインピーダンスとフィンの厚みやギャップ等のパラメタとの関係を明らかにした。つづいて、包絡位相検波(EPD)回路を後続回路とするフロントエンドを作製し、バイアスを適切に調整することによりこれが高い受信感度を有することを明らかにした。次に、これを8並列にしたフロントエンドを作製し、相互結合の評価を行って、高いイメージング性能を持つことを示した。(2)CSOM(複素自己組織化マップ)による受信複素イメージ内の局所テクスチャ分類ソフトウエアのLabViewによる再構:これまでLabViewによる計測ソフトとMATLABによるCSOM処理ソフトが分断されていたため、イメージングシステム全体としてはオフラインで情報処理する形態となっていた。これらをLabView上にひとつにまとめて再構築し、システムとして一体動作するものとした。(3)情報統合を行うCSOMの方式提案と実験:空間領域テクスチャと周波数領域テクスチャという2つの異なるモードの情報を統合する際に、単に値をベクトルとして連結するのではなく、互いのCSOM処理における相互情報量を観測してその値に応じた自己組織化動作の変調を行って、この情報統合を行う方式を提案した。より適切なテクスチャ区分を実現して可視化に貢献することが確認された。ただ、現方式は計算時間が大きいという問題を持ち、実時間処理のためには改良が必要であることも確認された。(4)実時間動作システムの構築と移動する対象の実計測による総合実験:実時間動作を行うシステムを構築し、総合的なイメージング実験を行った。まず移動体物体をさまざまな定速度で移動させた場合の1次元アレイイメージングを行い、2時限的テクスチャの適応区分を行うことにより、静止時に近い可視化性能が得られることを確認した。今後、統計的・定量的な評価や、歩く人のような部分部分の動作速度が異なる対象に対する評価を行う予定である。
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