研究課題
本研究では,「確率文法に基づくプログラム進化」という考えを提案し,遺伝的プログラミングを拡張した自動プログラミング法を構築した.より詳細には,集団探索ではあるが交叉と突然変異を用いず,プログラムを生成する確率文法の確率分布を推定することにより進化を行い,頑強で効率のよい手法を実現した.提案手法ではプログラムの生成方法を表す確率文法モデルを複数の候補で組み合わせ,プログラム集団からその確率分布を推定することによりプログラム進化を実現した.この手法は分布推定型プログラミング(EDP)の考え方をさらに拡張したものである.先行研究では,確率モデルとして,遺伝的プログラムにおける木構造生成のためにベイズ推定を用いていた.この方法は単純なプログラムにはある程度有効だが,プログラムの部分構造に強い依存関係があるような場合には必ずしも効果的でないことが明らかになっていた.そのため,プログラムの推定,とくに部分構造依存性の推定により適したモデルとして「確率文法に基づくプログラム進化」という考えに基づいて遺伝的プログラミングを拡張した.さらに本研究では,提案するプログラム進化の枠組みを実際的問題を対象にして検証した.まず実際的な応用として,創発的デザインの代表である音楽情報処理に対して実装した.本研究では,楽曲の構造的な表現をより的確に表現できるようなGPシステムの構築を確率文法に基づいて行った.その結果,汎化能力,リアルタイム性,頑強性などにおいて従来の手法より望ましい性能を確認した.さらにロボティックスやバイオインフォマティックス,および金融工学の問題に適用して実証性を検証した.たとえば、金融工学に関しては,金融データの予測や売買ルールの自動生成,金融リスクの自動診断,およびポートフォリオ構築などに対しての実際的な応用を扱った.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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