研究概要 |
2010年度前半は、(i)凸関数のMoreau-Yosida envelopeが常に微分可能で、微分がリプシッツ連続になること、(ii)Moreau-Yosida envelopeによって凸関数はいくらでも精度よく近似できること」に注目し、「階層構造を持つ凸最適化問題」の第2段階の最適化問題の目的関数をMoreau envelopeで正則化した問題で代用するアイディアの有効性を検証するとともに、そのアイディアをまとめた招待論文がFixed Point Algorithms for Inverse Problems in Science and Engineering(H.H.Bauschke,R.Burachik,P.L.Combettes,V.Elser,D.R.Luke,H.Wolkowicz,eds.),Springer-Verlag,2011.のChapter17として近日中に出版が決定している。さらに、2003年以来、申請者が提唱してきた適応学習アルゴリズム(Adaptive Projected Subgradient method)のアイディアとその発展と応用を広く紹介するために、最近の進展と新しい応用を加え、解説論文を発表している(IEEE Signal Processing Magazineに掲載済)。 2010年度後半は、スパースなベクトルや行列、低ランクな行列やテンソルの持つ情報表現能力を活かすための2つの信号処理問題(Principal Component PursuitやTensor Recovery)を解決するために、これらの凸緩和問題をDouglas-Rachford splittingを用いて解決するアイディアを提案し、このアルゴリズムが優れた性能を持つことを明らかにしている(これらの成果は、Journal of Math-for IndustryとInverse Problemsに掲載済)。
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