研究課題
研究代表者は、わが国の近代移行期における人口転換・移動革命論を再検討するため、古文書史料をデータベースに蓄積して、その記録内容を分析する「江戸時代における人口分析システム(DANJURO)」の開発を続けている。本研究では、DANJUROから求めた人口指標をHistoricalGISによって地図表示して、時空間分析を行う人口分布解析システムの開発を主目的とする。本年度は、「江戸時代における人口移動分析システム」を構築して、村落間ネットワーク・モデルによる最短経路探索系の開発を進め、「幕末維新期人口史料」分析システムの充実を図った。(1) DANJUROを構成する「宗門改帳」古文書画像データベースをもとに、移動理由、移動期間、移動形態を検索条件として、摂津国に位置する研究対象村落の人口移動件数を藩政村ごとに集計して、その時系列変化を彩色標高地図にアニメーション表示する機能、距離圏別移動件数・移動率を求める機能、研究対象村落の所属する郡や任意領域における地域内移動件数・移動率を集計する機能を持つスタンド・アローン版「江戸時代における人口移動分析システム」を構築した。(2) 人口移動に影響を与えた空間組織を抽出・評価するため、村落間ネットワーク・モデルを想定し、最短経路に沿った探索系の開発を進めた。「江戸時代における人口移動分析システム」から得られる人口移動の実態に相応する負担をパラメータ値の調節によって導出できれば、パラメータ値を解釈して、人口移動に影響を与えた空間組織を抽出・評価できる可能性がある。(3) 明治初期の戸籍を「幕末維新期人口史料」データベースに追加登録した。本DBには、岩代国、武蔵国、相模国における78ヵ村、約2万人、約3千世帯が登録されている。本DBから52項目の人口指標を求め、利用者側PCに示す「幕末維新期人口史料」分析プログラムを開発した。
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三田学会雑誌
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