研究概要 |
研究代表者は、近代移行期における人口転換・移動革命論を再検討するため、古文書史料をデータベースに蓄積して、その内容を分析する「江戸時代における人口分析システム(DANJURO)」を開発中である。本研究では、DANJUROから求めた人口指標をHistorical GISによって地図表示して、時空間分析を行う人口分布解析システムの開発を目的とする。本年度は、(1)人口分布表示システムの試作、(2)Web・DBサーバ機の選定・導入・システム移行、(3)「過去帳」古文書画像DBと「幕末維新期人口史料」DBの規模拡大、(4)国際会議における研究報告を実施した。 (1)DANJUROから藩政村単位に計算することのできる人口・家族に関する統計指標を電子地図に表示する人口分布表示システムを試作した。 (2)Web・DBサーバとして:Fujitsu PRIMERGY TX200 S6、無停電電源装置として:Fujitsu Smart-UPS 1500、DBMSとしてOracle Database 11g R2、Web ServerとしてOracle WebLogic Serverを選定・導入した。この新サーバに、DANJURO ver4.0を移行して、ver.5.0を構築した。 (3)寺院「過去帳」を「過去帳」古文書画像データベースに追加登録した。本DBには、武蔵国、相模国、備後国、美作国の18カ寺における39,799人が登録されている。さらに、明治初期の戸籍を「幕末維新期人口史料」データベースに追加登録した。本DBには、岩代国、武蔵国、相模国の延べ82カ村、20,564人、3,114世帯が登録されている。 (4)DANJUROから得られた種痘導入期の天然痘による死亡構造の変容に関する分析結果をThe First Conference of East Asian Environmental History at Taipeiで報告した。
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