研究概要 |
本研究は,不注意に関する事象関連電位/磁界計測(ERP/ERF)を行うことを目的としている.平成21年度および経費繰越期間(~平成22年10月)の研究計画は,1)先行手がかり課題(S1-S2課題)のデザイン,2)意識下・無意識下のモデルの構築,3)ERPの位相解析,であった.なお,2)の中で脳内の活動部位を同定するアプローチに関して繰越部分とした. 1)に開しては,連続して提示するS1-S2のペアにおいて(S1:課題刺激.S2:課題の評価のフィードバック),前ペアのS2が後ペアのS1へのプライムになるような実験をデザインした.S2はS1に対する注意レベルを変調するプライムになり得た. 2)に関しては,意識と無意識下に容量制限のある通信路が存在するモデルを構築した.1)のS1-S2課題はこのモデルに基づいてデザインした.また,点信号源を確実に推定できるERP/ERFの活動部位同定法を開発した(Inverse Problems誌に論文が掲載された). 3)に関しては,脳波の律動成分の位相に着目した加算平均法を開発し,通常の加算平均法では解析できない成分の抽出に成功した(2本のIEEE TBME誌に論文掲載および採択された). その他,本研究で開発した手法やこれらに付随した手法を転用し,ニューロンの共振モデル.言語処理活動のEF解析に貢献した(NeuroImage誌,Human Brain Mapping誌,Neuroscience Research誌などに共著論文が掲載).
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