研究概要 |
複雑な構造を内包する高次元データの背後にある現象の解明と予測・制御,さらには新たな知識発見のための基礎的な役割を担う非線形現象のモデル化の研究を行い,生命科学,システム工学などへの応用研究を推進し,平成22年度は以下のような研究成果を挙げた. 1. 複雑な非線形現象を捉えるモデルの構築を目的として,微分可能でないL1タイプの正則化法に基づく回帰モデリングの開発研究に取り組んだ.その結果,ガウス型基底関数に基づく新たな非線形回帰モデリングを提案し,数値実験と実データへの適用を通して手法の有効性を検証した. 2. 解析結果に影響を及ぼす要因を特定し,モデルの汎化能力の向上に欠かすことのできない変数選択問題に取り組み,ベイズアプローチに基づく関連ベクターマシーンによる新たな変数選択法を提案した. 3. 自己回帰成分を持つ時系列回帰モデルについて,予測域の重要度に重みをつけたモデル選択基準を導出し,その有効性を実データの解析に適用して確かめた.また,これに基づく特許出願の書類を準備中である. 4. ノンパラメトリックな統計的推測に関する研究を推進し,ジャックナイフ推測法の理論的な性質を明らかにし,その有効な応用法について検証した.またブートストラップ分散推定量の漸近表現を求め,漸近平均2乗誤差を求めることができた.さらにカーネル型密度関数推定量のエッジワース展開を求め,理論的に妥当性を証明した.
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