研究課題
昨年度は、既存薬剤である化合物約40種を用い、特定の細胞株に対して、化合物を作用させる前と作用させた後の遺伝子発現プロファイルデータを新規に入手し、この遺伝子発現プロファイルデータを用いて、化合物の作用により変動した遺伝子を抽出し、化合物間の類似性を評価し新規薬剤に対して既存薬剤との関連性を評価する統計学的手法を検討した。さらに、生物学的機能を有する各種パスウェイとの関連性を評価するための統計学的方法論について検討し、実データに対して解析と結果の評価を行い、化合物ごとに変動する遺伝子とパスウェイの情報を抽出した。また、Connectivity Mapの実際の利用における統計学的問題点に関しても研究を行った。今年度は、これらの研究を継続し、特に、各化合物を細胞株に作用させた遺伝子発現変化の情報解析の方法を検討することに力点をおいた。さらに今年度は、新規にハイスループット化合物構造情報に基づく構造活性相関分析法の研究を開始した。従来の構造活性相関解析では人口知能分野のエキスパート法の他に統計学的な多重回帰分析が使用されてきた。このように、構造活性相関解析は基本的には多変量解析の枠組みの中で取り扱われてきた経緯を持ち、本研究では、化合物アレイや質量分析計などのハイスループットデータやなど、他次元のオミックスデータから複数のメカニズムを考慮した上で、創薬に重要な化合物候補を探索できる構造活性相関分析法の新規の検討を行った。これらの解析結果などに関しては、未だ再現性のある十分な結果は得られなかったため、今後、統計数理研究所の研究者などと議論を行い、今後の研究に向けての方向性の探索や改良点などに関して検討を行なう予定である。また、上記内容に関する論文作成の準備を本年度中に行った。
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