研究課題
タンパク質のフリップ-フロップ運動に関連した膜内配置をいくつか用意し、全原子型のシミュレーションを行って、それぞれの配置における自由エネルギーを計算した。フリップ-フロップ運動に関して、2つの経路を考えた。一つは膜内にタンパク質全体が埋まる経路であり、もう一つはタンパク質がいったん膜外に出る経路である。1次元配列がTLIIFGVMAGVIGTILLIである膜貫通ペプチドのDMPC膜への結合自由エネルギーを計算対象とした。自由エネルギー計算は、全原子分子動力学シミュレーションとエネルギー表示法によって遂行した。その結果、膜内経路の方が自由エネルギー障壁の低いことが明らかになった。自由エネルギーをDMPCからの寄与と水からの寄与に分割し、水の役割について論じた.次いで、添加物の無い二種の脂質混合系について、ディスク状バイセルやひも状ミセルが形成する領域を、NMRを用いて探索した。混合比(=[長鎖脂質]/[短鎖脂質]) が2程度の 系では、広い温度範囲にわたって、また、混合比3程度の系では室温で、球状の混合ミセルや等方的回転を行う小バイセルの形成を示した。1Hおよび31Pシグナルがシャープであり、NOE交差緩和速度定数が、直径約30~50 nmの球状LUVと同程度の大きさであることによる。混合比が3程度で温度を上げると、1Hスペクトルは非常にブロードになり、31Pシグナルが2本にスプリットした。磁場配向性の大バイセルの形成を示す。さらに数十度C以上では、1Hおよび31Pシグナルがシャープになり、NOE交差緩和速度定数から、集合体の曲率がLUVよりも高いことが観測された。混合脂質の集合体の曲率がLUVよりも高いことを示す。ひも状ミセルの形成を支持する結果である。球状ベシクル系の曲率依存性の知見を元に、研究例の少ない脂質混合系の形状についての基礎的な知見が得られた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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