研究課題
前年度に引き続き、細胞系譜に従って神経をラベルする手法を用いて脳の神経を単一幹細胞に由来する神経群(クローナルユニット)ごとにラベルし、詳しく構造を解析した。キノコ体の入出力神経群が集中して投射する領域はキノコ体のvertical lobe周辺のsuperior intermediate protocerebrum(SIP)と呼ばれる領域と、medial lobe周辺のcrepine(CRE)と呼ばれる領域に限られているが、キノコ体内部に投射するクローナルユニットが少数なのに対し、SIPやCREに投射するクローナルユニットはそれぞれ10以上見つかった。これは、キノコ体の入出力神経群が脳の多様な領域から情報を受け取っている可能性を示している。特にCRE領域の中には、中心複合体を貫いて投射する4つのクローナルユニットが集中して投射する特異的な小領域が見つかり、その形状からrubusと命名した。rubusは終身複合体とキノコ体を結ぶ重要な情報伝達ポイントになっている可能性があり、今後の詳しい解析が期待される。また、これまでに同定した神経を新しいデータベースFlybrain Neuron Databaseとして公開した。また、これまでに同定したキノコ体入出力の機構をさらに詳しく調べるため、フランスの研究グループと共同して進めていた研究から、出力神経の1種類を特異的にブロックすると匂いと電気ショックの連合学習記憶の中で記憶呼び出しのフェーズだけが選択的に阻害されることが分かった。これによって、キノコ体を介して蓄えられた記憶が想起される際の情報伝達経路の一端が明らかになった。
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Nat Neurosci
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http://ndb.flybrain.org