研究課題
α CaMKIIヘテロノックアウトマウスはこれまで多数解析した遺伝子改変マウスの中で最も顕著な行動学的・心理学的異常を示した。研究代表者らのこれまでの研究でこのマウスの脳の海馬歯状回ではほとんどの神経細胞が未成熟なままであることがわかっている。本研究ではマウスの脳の「どの部位」「どの時期」にα CaMKIIが低下することが作業記憶の障害や周期的な活動量の波、不安の低下等の異常を引き起こすのか、を検討することを目的として「部位特異的」あるいは「時期特異的」α CaMKII欠損マウスの作成に必要な系統のマウスを入手して交配し実験を進めている。マウスの遺伝的背景の違いは行動表現型に影響するため、入手したα CaMKII floxedマウスについては繁殖と並行してC57BL/6Jへの戻し交配を進めた。実験用マウスを作る交配では、今年度海馬歯状回特異的Cre発現マウス(京都大学・鍋島教授から分与)との交配を予定したが、同Creマウスを別系統のfloxedマウスとかけ合わせた実験の結果から海馬歯状回の遺伝子発現が十分得られない可能性が予測されたため、同Creマウスに置き換わる系統として海馬歯状回特異的Pomc-CreマウスをJackson Labから今年度入手した。この系統は微生物汚染の問題があったためクリーン化する必要がありα CaMKII floxedマウスとの交配が遅れているが、準備ができ次第交配を進める。前脳特異的Cre発現マウス、海馬CA3特異的Cre発現マウスなどの「部位特異的」Creマウスも戻し交配を終えているので、平成23年4月以降に実験群の個体を得るための繁殖を進める予定である。
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