研究概要 |
研究代表者らの研究結果から、alpha-calcium/calmodulin-dependentproteinkinaseII(αCaMKII)ヘテロノックアウトマウスは各種の行動学的・心理学的な異常を示すとともに、海馬・歯状回が未成熟であることがわかった(Yamasaki et al., Mol Brain, 2008)。この未成熟な歯状回は、統合失調症などの精神疾患の中間表現型として有望なことからも、このマウスは非常に有用な精神疾患モデル動物であると考えられている。 本研究では、時期・脳領域特異的にαCaMKIIを欠損するようなコンディショナルノックアウトマウスを用いて、各種の行動学的・心理学的な異常が脳のどの時期、どの部位のαCaMKII低下に対応しているのかを解明することを目的とした。先ず、αCaMKII-floxedマウスに対して、各種プロモーターよりCreを発現するマウスを交配した。即ち、1)歯状回特異的な発現を示すProopiomelanocortin(Pomc)、2)海馬CA3領域特異的な発現を示すGlutamate receptorl gamma subunit (GluR1γ)、およびコントロールとして、3)αCaMKII、のプロモーターで発現がドライブされるCreマウスを用いた。平成22年度から継続的に行ってきたこれらの交配により、平成24年度に、各種のCre遺伝子座とαCaMKII-floxed遺伝子座をヘテロで持つマウスを得ることができた。現在、これらのマウスの各種脳領域や臓器のDNAを精製して、領域特異的なαCaMKII遺伝子領域の欠損を確認している。また同時に、海馬・歯状回におけるαCaMKII発現の低下と成熟度を、リアルタイムPCRおよび免疫染色により確認している。
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