研究課題/領域番号 |
21300133
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
ラザルス ミハエル (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (80469650)
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研究分担者 |
大石 陽 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (70554004)
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キーワード | 睡眠 / Cre / loxPシステム / 局所的RNAi干渉法 / 側坐核 / カフェイン / アデノ随伴ウィルス / 覚醒 / 受容体 |
研究概要 |
カフェインは、世界で最も一般的に摂取される興奮作用や覚醒作用を示す物質である。人間が日常的に摂取する用量では、カフェインはアデノシンのA_1受容体(A_1R)とA_<2A>受容体(A_<2A>R)に対する非選択的な拮抗薬として、類似の親和性で結合する。カフェインはアデノシンと逆に、脳内のA_2ARを遮断して覚醒作用を示す。しかし、脳内のどの部位のA_<2A>R発現神経細胞がカフェインによる覚醒作用を及ぼすのか、この疑問は未解決である。 本年度、Cre/lox法による遺伝子操作技術を用いて、線条体淡蒼球のA_<2A>Rを特異的に欠損したノックアウトマウスを作製した。また、ラット脳内の特定の部位でA_<2A>Rの発現を抑制するために、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いてA_<2A>Rのshort-hairpin RNAを局所的に導入する局所的RNA干渉法を確立した。部位特異的な遺伝子操作のためのこれらの強力な技法を用いて、我々は側坐核のA_<2A>Rを選択的に欠失させるとカフェインによる覚醒効果が消失することを見いだした。カフェインにより容量依存的に誘発される覚醒は、単なる休息ではなく、より自発的で積極的な覚醒行動と関連していた。これらの結果は、側坐核のA_<2A>Rがカフェインによる覚醒効果に必要であり、その覚醒効果は自発運動や動機づけ行動と関連する経路を活性化することを示している。 これらの結果により、従来から提唱されている睡眠中枢と覚醒中枢の相互作用モデルを上回る重要な概念を提唱できる可能性が高い。
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