研究課題/領域番号 |
21300133
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
ラザルス ミハエル (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (80469650)
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研究分担者 |
松本 直実 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (60450243)
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キーワード | 睡眠 / Cre/loxPシステム / 局所的RNAi干渉法 / 側坐核 / カフェイン / アデノ随伴ウィルス / 覚醒 / 受容体 |
研究概要 |
アデノシンはA_1およびA_<2A>受容体を活性化し、睡眠を誘発する。A_<2A>受容体は大脳基底核間接路の線条体淡蒼球系神経細胞に多く発現している。ここではドーパミンD2受容体とA2A受容体が教発現し、運動、動機付け、嗜癖や覚醒の制御に寄与している。大脳基底核においてA_<2A>受容体が発現し、覚醒を制御する領域はまだ明らかにされていない。 本年度、Cre/lox法による遺伝子操作技術を用いて、線条体淡蒼球のA_<2A>Rを特異的に欠損したノックアウトマウスを作製した。また、ラット脳内の特定の部位でA_<2A>Rの発現を抑制するために、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いてA_<2A>Rのshort-hairpin RNAを局所的に導入する局所的RNA干渉法を確立した。領域特的に遺伝子操作するためのこの強力なツールを用いて、我々はカフェイン処理や光の刺激に対する覚醒における大脳基底核A_<2A>受容体の役割についての研究を行った。側坐核周辺部のA_<2A>受容体を選択的に欠損させることにより、明期におけるカフェインによる覚醒の効果が見られなくなったが、基本となる覚醒量は変わらなかった。しかし、側坐核のA_<2A>受容体を欠損させると、暗期における覚醒量が増加した。これらの結果より、大脳基底核の運動や動機付け行動に関わる典型的な活性化経路によるカフェインの覚醒効果に側坐核A_<2A>受容体は必要であることが示された。それゆえ、我々は、側坐核におけるアデノシン/A_<2A>システムが睡眠覚醒制御のため視索前野の覚醒促進領域と睡眠促進神経細胞の切り替えスイッチとなることを提唱する。これにより、A_<2A>受容体を活性化することで、アデノシンは覚醒システムの制御を行うと考えられる。
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