我々はパーキンソン病などの病態において、β-synがα-synの凝集を抑制し、神経保護的に作用する内因性分子ではないかという仮説を提唱してきた。 今年度は、β-synP123HTgマウスの解析を通して、新しいシヌクレイノパチーモデルとして確立、さらにα-synTgマウスと変異型β-synP123HTgマウスのダブルTgマウスを解析し、、β-synP123Hの剖検脳に関する論文で報告されたように(Ohtake et al Neurology 2004)、変異型β-synがどのような機序でレビー小体形成などα-synによる神経病理を誘導するのかという問いにアプローチし、これらの成果をNature Communicationsに発表した。 また多くの弧発性のPDやDLBにおいてβ-synがどのようにして病態に関与するかという重要な課題に対して、これらの剖検脳の解析を通して検討している。このように新規Tgマウスの樹立、ダブルTgマウスの解析、そして、剖検脳の解析を含む包括的なプロジェクトを遂行することにより、シヌクレイノパチー病態におけるβ-synの役割に関する理解を一層深めている。
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