研究課題
SNAP-25は神経伝達物質放出に必須なタンパク質で、PKCによってSer^<187>がリン酸化を受ける。脳でのリン酸化の役割を明らかにするためSer^<187>をAlaに置換したノックインマウスを作成したところ顕著な不安様行動やストレス脆弱性を示した。さらにマイクロダイアリシスで調べると、脳内含量には変化が見られないにも関わらず、扁桃体でのドーパミンやセロトニン遊離が正常マウスの半分くらいに低下していた。SNAP-25のリン酸化変異マウスで見られる行動異常にモノアミン遊離の低下が関わるかを明らかにするため、ドーパミンやノルアドレナリン動態を変化させるがセロトニン動態には影響しないアンフェタミンの作用を比較した。その結果、変異マウスで見られる行動異常の中でフリージング様行動がアンフェタミン投与によって減弱し、その発現にドーパミンあるいはノルアドレナリンが関与していることが明らかとなった。SNAP-25のリン酸化変異マウスは生後3週頃から自発性のてんかん発作を起こすが、抗てんかん薬であるバルプロ酸を生後2週頃から与えると、不安様行動の発現が著しく抑制された。以上のことからSNAP-25のリン酸化は生後発達期にも重要な役割を果たしており、てんかん発作の発症やそれに伴う不安様行動の発症の抑制に関わっていることが明らかとなった。SNAP-25の脱リン酸化機構を明らかにするためシナプトゾームを用いて解析を行った。その結果SNAP-25はCa^<2+>依存的に脱リン酸化されるが、脱リン酸化にはPP2BではなくPP2Aが関与していることが明らかとなった。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
J Comp Neurol
巻: 519 ページ: 916-932
PLoS ONE
巻: 6 ページ: e25158
Glia
巻: 59 ページ: 143-151
10.1002/glia.21083