研究課題/領域番号 |
21300142
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
野村 靖幸 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (00034041)
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研究分担者 |
大熊 康修 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (20127939)
高橋 良輔 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90216771)
金子 雅幸 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10322827)
友部 浩二 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (80460286)
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キーワード | ユビキチンリガーゼ / 神経変性疾患 / ERAD / 小胞体ストレス / アルツハイマー病 / 不溶化 / 酸化ストレス / Dorfin |
研究概要 |
(1) 酸化ストレスによるHRD1とSEL1Lの不溶化とアルツハイマー病: 我々はこれまで、アルツハイマー病発症に関わるAβの前駆体タンパク質APPがERADに関与するユビキチンリガーゼHRD1の基質となることを明らかにし、さらに、アルツハイマー病患者の大脳皮質において、HRD1のタンパク質量が低下していることを見出した。本研究課題では、HRD1タンパク質の減少とAβの産生増加に相関があることを証明した。つぎに、HRD1減少の原因として、HRD1およびHRD1と複合体を形成するSEL1Lの不溶化の可能性を示した。さらに、HRD1やSEL1Lは過酸化水素などの酸化ストレスによって不溶化することを明らかにしたことから、アルツハイマー病の発症機構として、酸化ストレスによるHRD1とSEL1Lの不溶化とそれに伴うERADの破綻が関与する可能性を新たに示した。 (2) APPの代謝に関与するユビキチンリガーゼの同定: 我々はこれまで、ERADに関与すると予測される新規のユビキチンリガーゼをバイオインフォマティクス的手法で51種同定し、8種の遺伝子をクローニングした。本研究課題では、その中からAPPのユビキチン化と分解に関与するユビキチンリガーゼとしてRNF19Bを見出した。興味深いことに、RNF19の発現抑制はAPPの蓄積が認められるものの、HRD1とは逆にAβの産生量が低下することから、HRD1と異なる機構でAPPの代謝に関与する可能性が示唆された。また、RNF19Bと相同性が高いユビキチンリガーゼにDorfin(RNF19A)があるが、DorfinもRNF19Bと同様の結果となったことから、同じ機構でAPPの代謝に関与していると考えられる。今後は、その代謝機構について明らかにしたい。
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