研究課題
アカハライモリは生命科学に欠かせない実験動物である。本研究の目的は、イモリ研究の最重要課題の1つである「資源化」と「モデル動物化」に向けた調査、研究および技術開発である。特に、アカハライモリの生息状況調査と養殖池の整備、遺伝子改変と機能評価技術の開発、ゲノム解析用アルゴリズムの開発に取り組む。本年度はそれぞれの項目について以下の実績を上げた。1.アカハライモリの生息調査と養殖池の整備:耕作放棄地を利用してイモリ養殖用の試験池(水田)を設置したが、震災後に湧水が著しく減少したため、水温が上昇し水質が悪化した。そのため、井戸を設置し水の循環を開始した。これにより、導入した南関東系統のアカハライモリ個体群を、数は減少してしまったものの、定着させることに成功した。今後もモニタリングを継続するとともに、卵や幼生の導入も行い、数を増やし、研究教育用としての供給を目指す。2.機能評価技術の開発:トランスジェニック技術を成体イモリの再生研究に適用するために、人為的変態制御による簡易なラボ内飼育技術を確立した。また、RPE65遺伝子のプロモーターを同定し、これを利用した網膜再生解析システムを開発した。さらに、MEK-ERKシグナルが網膜再生の開始にかかわることを明らかにした。GFP導入組織の移植による細胞系譜解析技術も導入した。現在、これらの技術により再生関連遺伝子の機能解析を試みている。・3.アルゴリズム開発:イモリゲノムの解読を目指してvelvetのメモリ1/2減を達成した。網膜再生の初期(網膜除去手術後2週間まで)に発現する遺伝子の情報を次世代シーケンサにより取得した。現在、独自のアルゴリズムによりコンティグデータを構築し、相同性解析によるアノテーションとマイクロアレイによる発現動態の解析を行っている。今後、これらの資源・技術・情報基盤を様々な研究分野に広げていく。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) 備考 (2件)
Pigment Cell & Melanoma Research
巻: 25 ページ: 66-82
Nature Protocols
巻: 6 ページ: 600-608
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http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~chichiba/
http://imori-net.org/