研究課題/領域番号 |
21300164
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
安藤 剛 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (60324654)
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研究分担者 |
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
廣原 志保 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (70413804)
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キーワード | X線増感 / 高分子薬剤 / がん治療 / 金属含有高分子 / 星型高分子 / リビングラジカル重合 |
研究概要 |
本研究では、(1)X線増感効果が期待できる重金属原子をがん細胞へ取り込ませるために、EPR効果を持つと考えられている高分子薬剤を精密に設計・合成し、それを用いることで選択的に腫瘍部へ薬剤を集中させ、(2)薬剤を含まない細胞には影響を及ぼさない程度の低線量のX線を重金属原子の高いX線吸収効率により増感し、がん細胞内で選択的に活性酸素種を発生させる二重の選択性を用いることにより、QOLの高いがん治療法を提供することを目指している。そのために、「高分子X線増感薬剤の創成」と「細胞を用いたin vitro評価」の両面から精査する。 平成23年度は、前年度までに合成していたルテニウム含有星型ポリマーに代わり、ボスフィンオキシド配位子を有するユーロピウム錯体の導入を検討した。導入方法を検討した結果、26μmol/g-polymerの濃度でユーロピウムを導入することができた。このユーロピウム含有星型ポリマーは前年度までのルテニウム含有星型ポリマーと異なり、酸素に対して安定であった。また、金属の原子番号が大きいため、高いX線増感効果が期待できる。さらに、得られたユーロピウム含有星型ポリマーは強い蛍光を発し、その蛍光強度は対応するユーロピウム錯体よりも大きいものであった。 このように、ユーロピウム含有星型ポリマーは蛍光による診断、X線増感による治療の二種類の役割を一種類の分子で果たすことができると期待される。今後はX線照射によるDNAの切断能の調査およびがん細胞を用いた殺細胞能力の評価を行う予定である。 本成果は平成24年5月の第61回高分子学会年次大会において発表する予定である。
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