研究課題/領域番号 |
21300166
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
片野坂 友紀 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60432639)
|
研究分担者 |
成瀬 恵治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
金川 基 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00448044)
片野坂 公明 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (50335006)
|
キーワード | 心肥大 / 心不全 / メカノセンサー / Ca2+輸送体 / チャネル・トランスポーター |
研究概要 |
心不全に至る原因や過程は一様ではないが、唯一、高血圧などの血行力学負荷は共通の引き金である。本研究では、臨床で経験されるような多様な血行力学負荷が、どのような機構で心肥大・心不全の発症および重症化を招くのかを明らかにするために、心筋メカノセンサーの作動機序と心不全発症への役割を解明することを核とした分子・細胞・生体を網羅するマルチレベル医工学的評価法に基づいたトランスレーショナルリサーチを展開する。この結果、心臓ポンプ機能を長期にわたって維持する分子的基盤を得ることを目的としている。 本年度は、心筋細胞の興奮収縮連関に大きく関わるCa2+輸送体に関するトランスジェニックマウスを作製することを通して、血行動態負荷(メカニカルストレス)に対する臓器応答、心筋細胞応答を解析した。具体的には、特定の輸送体の発現レベルを調節したときのみに、特定の臓器形態的変化、機能変化が見られることが明らかとなった。また、新生児培養心筋細胞応答の解析からは、それぞれのトランスジェニックマウスにおける肥大応答能力を解析することが可能であった。これらの結果を総合して判断すると、心筋細胞の興奮収縮連関に大きく関わるCa2+輸送体には、それぞれ適切な分子発現量が存在し、その範囲内で可能な適応現象も、その範囲を超えることで適応不能へ陥ることが明らかとなった。得られた知見から、心肥大から不全への進行におけるCa2+輸送体の役割を、より詳細に議論することが可能となった。
|