研究課題/領域番号 |
21300167
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岩田 哲郎 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (50304548)
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研究分担者 |
荒木 勉 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50136214)
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キーワード | 医用光学 / 生体計測 / 腫瘍診断 / 蛍光寿命 / 分光計測 / 赤外蛍光 / 位相変調法 |
研究概要 |
一「腫瘍組織スクリーニングを目的とした動的蛍光計測機器群と手法の開発」と題して、装置・手法の開発と評価を行った。その背景には、腫瘍診断の目的に「蛍光分光法」の利用が提案されているが、正常細胞と腫瘍細胞のスペクトルが類似する場合が多いため、識別能力の向上が求められていたという事実があった。そこで解決法の一つとして、「蛍光寿命」という時間パラメータの導入が考えられた。しかし、測定対象が生体試料であるため、周波数領域での位相変調法の採用が望ましく、パルス励起法との比較検討などが必要であった。また、一般に蛍光測定には紫外波長域での励起が不可欠であるが、生体の安全性にやや難があるという本質的な問題点もあった。そこで、「近赤外蛍光測定手法」の導入と、識別能力をさらに向上させる目的で、近赤外波長域での蛍光寿命測定の検討も必要であった。また、微弱な蛍光に対応するための手法の開発、すなわち検出感度とSN比の向上を実現する装置的な手法の検討も必要であった。そのような要請に応えるべく、各種の測定手法を比較検討しながら、実際にシステムを構築するということが、本研究の目的と意義であった。その結果、検出器である光電子増倍管の負荷抵抗を大きく設定し、畳み込み自己回帰モデルにより蛍光寿命値を推定する手法の検証、アバランシェフォトダイオードバイアス電圧印加方式ゲート動作微弱蛍光検出法、自己回帰モデルに基づくデータ解析手法と高周波かつ高変調度レーザダイオード駆動回路を用いた光子計数型位相変調法の装置の開発、位相変調光源を用いた位相変調法、time between photons法と命名された手法の導入と動作確認、ファイバーレーザと高周波ロシクインアンプを用いた近赤外蛍光寿命測定装置の構築などを行った。また、試料として、クマリン152やインドシアニングリーン水溶液、またそれで誘導体化した腫瘍細胞の蛍光寿命測定を試みた。いずれも当初の予定通りの結果が得たが、腫瘍細胞の誘導体化に関しては試料の経年劣化の影響で安定した結果が得られておらず、今後の課題となった。
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