本年度は、試作したOMRI装置の評価・改良を継続すると共に、実験動物を用いた評価に着手した。具体的な検討項目は下記の2点である。 1)疑似試料における均一性等の性能評価・フィードバックによる改良 まず疑似試料(ファントム)レベル(生体を模した形状、緩和時間)のファントムを作成し、共振器の有用性(検出感度、検出均一性)を理論計算値と実測値の比較解析により行った。径200mm以上の領域で良好な性能が確認された。また、雑音低減を目的として共振器のシールド部分について一部設計を変更した。その結果、信号/雑音比が2倍以上改善した。さらに、動物の挿入/搬出が容易になるように、空隙部分の共振器形状を改良した。 2)大型実験動物を用いた有用性の実証 レドックス分子イメージング手法として、既に我々は安定同位体標識した複数のレドックス・スピン試薬を用いることで、同一動物の異なる微小部位におけるレドックス動態を同時に画像化できることを報告している。 1)の結果を踏まえて本装置において胃潰瘍モデルを例にレドックスイメージングを行った。また、性能比較の為に、既存装置を用いて得たレドックス画像と、本研究で開発する装置で得る画像とを比較し、感度・局所情報の抽出性について解析を行った。その結果、本装置で撮像した画像は従来装置と同等以上の性能を有しており、動物撮像に有用であることが示された。次に、より高精度の撮像を実現する為に、大型動物の画像化条件検討に着手した。
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