研究概要 |
【研究の目的】変形性関節症の発生原因の一つに軟骨基質内に存在する小さなコラーゲンとされるcollagen IXの変性、消失が関わっていることが考えられる。collagen IXが変性、消失するとcollagen IIも変性し、軟骨基質が破壊されて関節症が惹起される可能性がある。低出力超音波(low intensity ultrasound:LIPUS)にcollagen IXの産生を亢進させる効果があることが申請者らの以前の研究で明らかになった。本研究では、LIPUSがcollagen IXを増やす作用機序を明らかにし、関節症の発症予防に対するアプローチの一つとして将来臨床応用が可能となる新技術の開発につなげることを目的とする。 【研究計画】培養軟骨細胞に対して低出力パルス超音波(LIPUS)を与え,LIPUSの繰り返し周波数(RF)および出力強度(Po)の相異による影響を検証した.ウシ足関節より軟骨を採取し,単離した軟骨細胞の平面培養を行った.RFとPoの影響を検証するためにRFを50,500,1000Hz,Poを75,150300mW/cm^2|SATPに変化させ、アグリカン(AGC),II型コラーゲン(COL2),IX型コラーゲン(COL9)のmRNA発現量を測定した. 【研究結果】LIPUSを培養翌日より1日20分間,毎日照射した群(LIPUS群),非照射群(Control群)の2群とした.Po-150mW/cm^2,RF-500HzにおいてAGCのmRNA発現量はLIPUS群でColltrol群の約168%であり(p<0.05),RF-50HzにおいてはCOL9のmRNAは約158%であった(p<0.01).一方,RF-1000Hz,Po-300mW/cm^2においてCOL9のmRNA発現量はLIPUS群でControl群の約147%であった(p<0.01).繰り返し周波数がmRNAの発現に対して影響を及ぼす可能性が示唆された。また,出力強度の影響は一部のmRNAのみが影響を受けやすいと考えられた.
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