本研究では、再生医療移植技術支援のためのマイクロマシン基盤技術の確立を目標に、特に移植支援技術として移植デバイスに着目し、その基盤技術となるマイクロバルーンアクチュエータ(S^3マイクロマシン)の設計開発技術の確立に取り組んできた。ターゲットとして取り上げている眼球内への細胞シート移植技術自体の工程に関する課題の整理・検証を経て、要求仕様を決め、移植デバイスおよびS^3マイクロマシンの設計開発基盤技術研究を進めてきた。 S^3マイクロマシンであるPDMS材料製のマイクロバルーンアクチュエータ(PBA)について、固体力学に基づいた数値解析技術に対する検討と実デバイスの試行評価実験を有機的にリンクさせる研究をさらに推進し、知見を拡充した。非線形性の強いPDMS材料の物性値計測システム(本研究で構築)を用いて、実際の移植デバイスの特性を考慮したアクチュエータ変形動作のFEM解析を行い、知見を得ている。マイクロバルーンアクチュエータ(PBA)について、バルーンの形状パラメータ依存性、複数バルーンの組み合わせ効果等の評価が進んだ。移植デバイス設計の際に重要となる所望機能のための動作実現と小型化等の制約条件への対応において有用な知見となる。これまでにマイクロバルーンアクチュエータ(PBA)の動作モードの再現性や検討中のFEM解析手法の適用範囲を把握することができた。 さらに、これらの設計開発基盤技術に関する成果を活用し、S^3マイクロマシンを応用した移植デバイスの設計を進めた。蓄積した実験データを有効活用し、推進中の設計基盤技術を適用し、小型デバイスの設計最適化、試作、評価に取り組んだ。評価においては、連携研究者の協力を得て実証評価を実施し、実用的な観点からの検証も実施し、応用についても展望した。
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