研究課題
動物実験の代替や人の前臨床試験の新しい手法として、本研究は、肝細胞のみではなく、肝組織によるマイクロ培養装置を開発することが目的である。平成21年度では、第一に、マウス初代肝細胞、内皮細胞株とバイオマテリアル(EHSゲル)の3者の組み合わせにより再構築した肝組織(類洞様構造)システムを応用して、開閉式再構築型肝組織フローチップの作製に成功した。この肝組織チップによるフロー培養は、通常のディッシュ上のバッチ培養に比較して有意に肝機能(尿素合成能、チトクロームP450アイソザイム活性能)が高いことがわかった。また、肝細胞の長期培養も可能であった。マイクロ培養装置の設計として、培養槽をより小さく、かつマルチ流路にすることを目指す。第二に、マウス肝門脈を結紮することにより、結紮、非結紮葉ともにから肝前駆細胞を調製することに成功し、この細胞は肝細胞と胆管上皮細胞の両方向に分化できる能力を有することを確認した。これまでの薬物誘導による肝前駆細胞(オーバル細胞)では、この肝前駆細胞を用いて、肝組織を再構築できると思われる。第三に、ヒトiPS細胞を用いて、肝様組織を誘導することに成功した。この分化誘導における分子生物学的な解析をおこない、成熟肝細胞への分化を確認した。ヒトの薬物代謝について検討できることが期待される。
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