研究課題
本研究では、独自のDDSキャリアと手法で制がん剤候補を封入し、同時に細胞表面分子を標的する効果的な標的治療薬を創製する技術の確立を目的としている。まずErbB2に対する人工リガンドEC-1ペプチドを用いて分子標的を行ったところ、2量体化以上のデザインでErbB2の内在化が起こることを見出した。これは単量体では観察できないので、多価に提示したDDSキャリアがErbB2標的に有効である可能性が高い。これを利用して独自に開発したシスプラチン内包型キャリアの表面に抗ErbB2モノクローナル抗体を提示して分子標的の前検討を行ったが、結果は画期的な効果を示すものではなかった。これは使用した抗体がErbB2の内在化を誘導するものではなかったためと考えられる。したがって、今後予定しているEC-1提示による効果が期待できる。一方、グリオーマの分子標的のためにCD44のリガンドであるピアルロン酸を酵素処理により低分子化してキャリアの表面上に提示するデザインを構築中である。また、ドキソルビシンとよい相性を示すと考えられるフォスファチジルDセリンを合成した。フォスファチジルDセリンはフォスファチジルLセリンのように貪食細胞に取り込まれることがないのでドキソルビシンを含有するリボソームは安定で副作用が低いと期待できる。細胞表面マイクロアレイを用いて乳がんの細胞表面に特有なマーカーをスクリーニングしている。約20人の臨床標本より抽出したRNAから球面自己組織化マップを駆使して種々の解析条件で検討した結果、特徴的な遺伝子群を見出している。さらに標本数を増やして詳細な検討を継続していく予定である。Cryptolepine系誘導体に関しては、約20種類の誘導体をスクリーニングした結果、トポイソメラーゼとは異なる酵素活性を阻害することが分かり、詳細を検討中である。このように、研究の各要素で進展があった。
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