研究課題
本研究では、独自のDDSキャリアと手法で制がん剤候補を封入し、同時に細胞表面分子を標的する効果的な標的治療薬を創製する技術の確立を目的としている。すでに、ErbB2は細胞により抗体や人工リガンドが結合すると内在化することを明らかにしたが、内在化しない細胞でも抗体や人工リガンドを多価でErbB2を認識させるど内在化が起こることを見出した。よって、多価に抗体や人工リガンドを提示したDDSキャリアがErbB2標的に有効であることが分かった。さらに、グリオーマを分子標的するために抗CD44モノクローナル抗体を用いCD44の内在化を促進するか否かについても検討した結果、ErbB2同様に内在化を認めた。この二つの標的に対し、グリコシル化パクリタキセルとシスプラチンの組み合わせで、リポソームの剤型をデザインした。すでに、パクリタキセル封入リポソームでは奏功時間をin vitroで短縮することに成功したが、リポソームへの封入効率が低すぎるため、in vivo試験を行うには実用的ではなかった。そこで、改善を試みたところ20%近くまで上げることに成功したため、in vivo試験で薬効を検討中である。急性毒性ではリポソームに封入した剤型は毒性が格段に下がっている事から分子標的薬剤としての効果が今後期待される。CD44標的においても、同様な検討を進めているが、シスプラチンの封入効率に関してはすでに実用的なレベルに達しているので、in vivoでの検討を行った結果、腫瘍の増殖抑制が示唆された。この結果はさらに詳細を解析検討中である。さらに、フォスファチジルDセリンリポソームを用いて、貧食細胞への取り込みを再検討したところ、再現性よく低くなっていた。これらの結果を組み合わせて、効果的なドラッグデリバリーシステムの構築が現実的なものとなった。このように、今年度も大きな進展があった
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) 図書 (2件)
Molecular Biology
巻: 46 ページ: 156-161
10.1134/S0026893311060045
J Cell Mol Med
巻: 15 ページ: 2525-2538
10.1111/j.1582-4934.2011.01277.x