研究課題/領域番号 |
21300180
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
大橋 一夫 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40364062)
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研究分担者 |
中山 正道 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00338980)
辰巳 公平 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70555432)
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キーワード | 再生医療 / 細胞治療 / 遺伝子治療 / 細胞表面修飾 / 免疫隔離 |
研究概要 |
平成23年度の本研究においては、平成21、22年度に確立した細胞修飾法を付加した肝細胞の臨床応用性の検討として、小動物実験を中心とした展開を行った。研究の具体的経緯および成果について、以下に列記する。 1 細胞膜の高分子修飾を施した肝細胞の機能解析 Dipalmitoyl-sn-glycerol-3-phosphatidylethanolamineにより肝細胞の表面を超薄層で被覆修飾した肝細胞を同系マウスの肝臓へ移植する肝細胞移植実験を行い、細胞表面修飾肝細胞の機能を評価した。その結果、移植細胞の肝臓内生存率、生着期間において分離新鮮肝細胞の結果と差異がないことが明らかとなった。本結果は、本事業で開発した肝細胞膜表面修飾法が、細胞機能に影響を与えず、細胞移植等の再生医療に用いるのに適した修飾法であることを明らかとするものである。 2 HGF遺伝子発現肝細胞による再生医療構築 平成21、22年度に開発したウイルスベクターを用いた遺伝子修飾法を基に、HGF遺伝子を搭載した肝細胞を用いて肝組織工学的手法が急性肝不全に与える影響を検討した。その結果、コントロール群では全匹が急性肝不全誘導後数日以内に死亡したのに対し、HGF肝細胞組織作製群では、50%以上のマウスを救命し得た。これらの治療効果は血液検査評価においても裏付けられたとともに、作製組織が肝臓の一部として生体内で機能を発揮していることを様々側面から明らかとした。 以上の成果は、本研究において開発した細胞修飾法は、再生医療への応用性が高いものであることを示している。本研究では肝細胞を中心とした開発を行ったが、他の細胞への応用を積極的に展開することで、再生医療全般に有意義な技術となるものと確信している。
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