本年度は研究計画に挙げた4つの項目のうち、(3)統合的脳アトラス、および自動抽出処理を実装したモジュール群のシステム統合を主に行った。また、前年度から引き続き(1)脳アトラスの構築、および要素技術の開発、および(2)アトラスに基づく疾患構造の自動抽出法の開発についても研究を行った。 前年度において得られた研究成果であるGPU(Graphical Processing Unit)による高速計算モジュールの非剛体のレジストレーションへの応用についてシステムへの統合を中心に行い、動作を確認した。また、被験者間の位置合わせで重要なランドマーク検出の基盤技術について、脳に特化した手法について検討した。 また、アトラスにおける拡散MRIに基づく脳白質部分について、様々な白質線維を描出するのに必要な高方位拡散MRI(HARDI)イメージングの撮影時間の短縮を目的とした様々な手法を前年度に引き続き検討し、確率的トラクトグラフィによる錘体路の抽出においてその効果を検証した。一方、アトラス構築時に症例データを効率よく収集、データベース化するため、Webインターフェイスによる簡便な操作のシステムにおいて、MRIデータを構築し、統計アトラスを構築するための基盤システムについて、拡散MRIデータの処理を例としアトラス構築の実装を開始した。 加えて、研究計画の項目(4)の診断・治療支援におけるシステムの一部である手術ナビゲーションシステムのための位置センサの動作確認と精度検証を行い、統合システムへの接続を試行した。
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